
雲南からの紅の香り — 滇紅(ディエンホン)紅茶の物語
July 28, 2025
滇紅紅茶は、中国雲南省の高地と霧に包まれた山々から生まれた、豊かな香りと深い味わいを持つ名茶です。本記事では、滇紅の由来、特徴、製茶技術、健康効果について詳しく紹介します。一杯の滇紅で、自然と伝統の息吹を感じてください。
雲南からの紅の香り — 滇紅(ディエンホン)紅茶の物語
紅茶と聞くと、スリランカのセイロンティーやインドのダージリンを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、世界でも指折りの紅茶のひとつが、中国南西部の高原に広がる霧の山々から生まれた 滇紅(ディエンホン)紅茶 です。
1. 滇紅紅茶の起源
滇紅は1939年、中国雲南省の鳳慶(ほうけい)県で初めて製造されました。雲南大葉種と呼ばれる大型の茶葉を使用しており、ポリフェノールやカフェイン、芳香成分が豊富です。
雲南省は「茶の起源の地」とされ、「世界の茶樹遺伝子の宝庫」とも呼ばれています。臨滄、保山、普洱、西双版納などの地域は、標高が高く、空気が澄み、肥沃な土壌を持ち、良質な茶の育成に最適な環境です。
2. 滇紅の特徴
滇紅の乾燥茶葉は、黒く締まった条状で、金色の産毛(“金毫”)が目立ちます。お湯を注ぐと、赤く澄んだ茶湯になり、蜂蜜や花のような豊かな香りが立ちのぼります。味わいは甘く、厚みがあり、まろやかで、余韻が長く続きます。
特に「金芽滇紅(金針)」は、春先の新芽のみを使用しており、香り高く、上品な甘さが特徴の高級茶です。
3. 主な種類
- 滇紅工夫茶(こうふうちゃ):伝統的な条状茶。香りが高く味に深みあり。
- 滇紅CTC:粒状の紅茶で、ミルクティーやティーバッグ向け。
- 金芽滇紅:芽のみを使用。繊細で甘みが強い。
- 野生滇紅:野生古樹から採取。茶気が強く風味豊か。
4. 健康への効果
- 集中力向上:カフェインによる覚醒作用
- 消化促進:脂っこい食事の後にもおすすめ
- 抗酸化作用:アンチエイジングに効果的
- 胃にやさしい:緑茶と違い、体を冷やさない
5. 美味しい淹れ方
- お湯の温度:90〜95°C
- 器具:磁器の急須、蓋碗、またはガラスカップ
- 茶葉の量:200mlに対して3〜5g
- 抽出時間:初回15秒程度、以後調整
6. 茶に込められた物語
滇紅は、単なる飲み物ではありません。少数民族の文化、茶農家の努力、大自然の恵みが詰まった一杯です。
現在では、ヨーロッパ、アメリカ、日本などへ輸出され、中国紅茶の象徴とも言える存在となっています。